俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


柔らかく、穏やかな口調が背中の方から聞こえてくる。

コツンとブーツのソールを鳴らす音と共に。



『…何だと?』



その物申しには、さすがの雷帝も反応したようだ。

チラッとこっちを振り返る。

血走った眼を目にしては、怯みそうになるが。



「…人間の小娘相手に、貴方も大人気ないですね?仮にも魔界のNo.2ともあろう御方が」

『何奴!』



フフッと不敵な笑いを漏らしていた。



「名乗るほどの者ではございません…」



しかし、俺には。

背後から現れた人物が、誰だかわかった。

その穏やかで不敵な口調の主が。



恐る恐る振り返ってみると…やはり、そうだ。



「貴方の手の中にいる小娘の、家族です。すみませんが、その手を離しては頂けないでしょうか」



なずなの上司。

菩提さんだ…!



よく見ると、その後ろには…事務所の社員である、あのもさっとした男(名前忘れた)も、もさっと立っている。

更にその後ろには、やんすマルコメもいた。

「音宮の若と、ちょうどそこで出くわしたんで、連れてきたでやんすよ!」

だから…雷帝を前に喋るな!