魔界のNo.2雷帝を前に…その『圧』を体で感じてしまい。
なぜか、一歩も動けない。
さっきから、肌がチリチリと熱い感覚が続いていて。
無意識に本能で感じ取っているんだ。
こいつに逆らってはいけない、と…!
何の力も持たないことが、こんなに無力だとは。
ただ、立ち尽くし。
なずなが雷帝に殺られる様を黙って見ているしか出来ないなんて…!
『圧』を感じて、そこから一歩も動けないが。
何か出来ることはないかと探し。
でも、体を動かそうにも『圧』で押さえ付けられ、ただ体が震え、汗が頬を伝う。
なんて、無力なんだ…。
しかし、そんな立ち尽くしている俺の方を、なずながうつろな目で見ているような気がした。
それは、何かを訴えているような目で。
早く、逃げろ。
そう告げられているような気がして、更に愕然とする。
おまえ、こんな時でも他人の事を…!
おまえを残して、逃げられるわけがないだろが…!
どうしようもなくて、ガクッと俯く。
…しかし、その時。
背後に、フワッと人の気配を感じ取った。
「…雷帝ともあろう御方が、短気ですか?」



