「マルコメぇぇっ!余計なことばかり言ってんじゃねえぞこらぁぁ!…てなわけで、ねぇ?キミ?…行ってくんないかな?元気よくあの姉さん抱いてきて?」
「だ、ダメです!い、い、嫌です!」
「そんなこと言わずにさぁー?…あ、それともキミも女に反応しないのか?!」
「ち、違います!」
…ああぁぁっ!
なんか、おかしいぞ?
ヤクザ、おかしいぞ!
ワケわからん爆弾ばかり落として、もうカオスだ!
やんす、マルコメって呼ばれてるのか!
坊主でもないくせに!
しかし、こそこそ隠れていたはずの俺が、前に出てヤクザの皆さんとギャーギャー騒いでいたら。
…そら、バレる。
「…伶士?」
あ…やべ。
俺を呼ぶその透き通った声は…ちっとも変わっていない。
小鳥のように、囀ずるような。
その、美しい声は。
「…伶士、伶士なのね!」
あ、ああぁぁっ!ば、バレた!
沙羅先輩に、存在バレてしまった!
うわあぁぁっ!
逃げたい一心で、慌てて沙羅先輩に背を向けてしまう。
頭隠して尻隠さず状態。
傍にいる木嶋さんがボソッと呟いた。
「…え?二人、知り合いなの?」
…ああぁぁっ!もう!