木嶋さんは、軽く慌てふためき吃りながら答えていた。

キョドってる。若頭。



「わ、わ、わかった!ま、待て!」

「他に誰もいらっしゃらないのなら、あなたでも良いんですよ、若頭さん?むしろ、あなたがいらしてくださいな?」

「だから!…俺は女とはしない!待て!」

「若頭さん、いらして…」

沙羅先輩、木嶋さんを誘ってる…。

おいおいおいおい。理性もなんもあったもんじゃない。

さすが、エロ悪魔の魔法陣でずっと過ごしているだけある。



「…あのお姉さん、どうやら若頭がタイプみたいでやんす。さっきからずっと誘ってるんでやんす。若頭がホモで女に反応しないってわかってても『私が反応させてあげる』ってきかないんでやんす」

「こらぁぁ!余計なことを言うな!」

木嶋さんはとたんに逆上し、語尾にやんすを付ける子分の頭をポカッと殴っている。

そうか…木嶋さん、沙羅先輩にキョドってるの、こういうことだったのか。

操の危険を感じて…。



苦笑いが出てくるが、木嶋さんは血走った目でキッと俺を見る。

ヤクザの眼光に、体を震わさざるを得ない。

やばっ。笑ってんのバレた!