「くそガキ…コラァ!」



やはりこの手の連中、コラァ!は標準装備のようだ。

しかし、目の前のパンチパーマのスーツ男は…刃物をこっちに向けている。

素手じゃない?…上等だ!



「おおぉぉっ!」と、この人も威勢良く刃物を振りかざしてくるが、隙だらけ過ぎる。

一歩踏み込んで足を振り上げると、刃物を持った手に上段蹴りがブチ当たり、あえなく刃物を落としていた。

「ああぁぁっ!」と、悲鳴をあげたその隙に大腿へのローキックで、踞っていた。



「ちっ…大人しくしろ!」

「…伶士!」



なずなの叫び声で顔を上げると。

長身スーツ姿の斎藤さんがいつの間にかリバースしており、ガチャンと音を立てて黒い鉄の塊を俺に向けていた。

それは、本場モノの…拳銃?!



(………)



けど、瞬時に悟る。



俺んち、ハワイの別荘の地下に銃撃場があって、拳銃打った経験あるんだけど。



その銃の持ち方と銃口の向き。

こいつ…威嚇だけで、打つ気全くねえな?



そう判断して、予測される弾道から外れるように回り込んで、踏み切る。

相手に判断の予知を与える間もなく、上段回し蹴りで、拳銃を持つ右手を狙った。

「…はっ!」