「ニューハーフにモテるなんざ、イイ男の象徴じゃねえか。イケメンの宿命」

「………」

「おいおい。涙目になってるぞ」

「………」

だって、泣けてくるでしょうよ。

股間、何回撫でられたかわからない。



「お?なずな、あんた連れがいたのかい」



ふと見ると、なずなの後ろには和服姿のおばさんがいた。

おばさん…いや、この人も男性だ。

声が低くて野太い。背は低いが、顔の骨格がゴツめである。

白塗りに赤い口紅で、髪は夜会巻き。

見た目…チッキショー!って叫ぶ芸人さんにそっくりだ。



「うん、まあ。あ、橘しゃちょーの息子だよ、ママ」

「ほぉぉ…士朗ちゃんの息子かい!」



そのおばさん(おじさん?)は、見開いた目で俺を見る。

親父のこと知ってるのか?…って、親父もここに出入りしたことあるなら、知ってるかもな。

今、ママって言われてたし。



と、そこで本来の目的を思い出す。

凌辱に打ちひしがれている場合じゃない。



「…そうだ。話、どうだった?」



目の前にいるなずなにその旨を問うが、首を横に振られる。