すると、隣にいたなずなが「驚いてんなー?」と、少し笑う。



「…ここ、全国的にも有名な店なんだぜ?札幌といえばここ、みたいな?って、健全なDKにはわかんないか」

「何だよそれ」

「やぁーん!イケメーン!ハロー?」


突然、背後から高く野太い声で話し掛けられる。

気配で咄嗟に振り返ろうとしたが、背後にピタッと生暖かい感触がした。

誰か背中にくっついてきた…?!

だ、誰!



「あ、フリージアさん」



なずなの視線は、俺の背後だ。

すると、背後から「ハロー!なずぅー!」と、俺の顔の横で手を振っている。

随分とご機嫌な声だ。



改めて、恐る恐る振り返ると。

とても肌が白くてもち肌な、ふくよかな女性…この店だから、男性?

サラサラなストレートがふわっと靡いて、化粧も話し方も控えめな…女性?男性?

雰囲気はそこらの女子よかバリバリ女子。

そんな女子力たっぷりな女性?男性?に…なぜか背後に密着されている。

なぜ?



「後ろにいるのは、フリージアさん。この店の指名ナンバーワンの人」

「もぉうー!ナンバーワンだなんて、なずってばぁー!」