念のため、三階の他のテナントも当たってみる。
しかし、やはり。
『流れ弾』の被害があったのは、そのオデットの階下にあるスナックだけだった。
偶然とは言い切れない状況に、ただ驚くしかない。
被害に合ったお店は、依頼があったオデットの階上と階下。
位置的に、縦に三つ並んでいる状態なのだ…!
「術が行われている場所は…もっと下か?」
そう呟いて、足元の床を見下ろすなずな。
…なずなは、各テナントへの聞き込みの際、その『魔力』の流れも探っていたらしいのだが。
どのテナントにも、その『魔力』の流れはなく、魔術が行われている様子はなかったという。
「二階のフロアも、階下にあたるテナント調べてみるか?」
あたかもわかってるかのように、助手らしく提案してみる。
すると、予想しなかった返答が。
「…いや、二階のテナントはひとつしかない」
「は?ひとつ?」
「ワンフロアぶち抜きで使ってるんだ。相当デカいお店」
「へぇ…何の店?」
「行ってみりゃわかる」
行ってみたらわかるの?



