俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


念のため、三階の他のテナントも当たってみる。

しかし、やはり。

『流れ弾』の被害があったのは、そのオデットの階下にあるスナックだけだった。



偶然とは言い切れない状況に、ただ驚くしかない。



被害に合ったお店は、依頼があったオデットの階上と階下。

位置的に、縦に三つ並んでいる状態なのだ…!



「術が行われている場所は…もっと下か?」



そう呟いて、足元の床を見下ろすなずな。

…なずなは、各テナントへの聞き込みの際、その『魔力』の流れも探っていたらしいのだが。

どのテナントにも、その『魔力』の流れはなく、魔術が行われている様子はなかったという。



「二階のフロアも、階下にあたるテナント調べてみるか?」



あたかもわかってるかのように、助手らしく提案してみる。

すると、予想しなかった返答が。



「…いや、二階のテナントはひとつしかない」

「は?ひとつ?」

「ワンフロアぶち抜きで使ってるんだ。相当デカいお店」

「へぇ…何の店?」

「行ってみりゃわかる」



行ってみたらわかるの?