傍にいてもいい、とか。
必要としてくれているような気がして。
そんな意味合いが込められているような気がして。
心が弾む。嬉しくなる。
…いや、実際は帰れ思ってると思うけどさ。
でも、それでも。
隣にいたい。
俺だけ、その特別な場所に。
階段を降りるなずなの背中を見つめてそう思った。
降り立った場所は、四階スルーして三階。
「…あの店か」と呟いて、今度は一直線に向かう。
オデットの階下の店。
先ほど見てきたようなスナックだった。
すると、やはり。
予想は大当たりで。
その店の木製カウンターには…鋭利な傷。
足元から這うように延びる、一直線の長い傷が三本。
「いやぁー。さっき椅子動かした時にやっちゃったと思って、ヤバって思っちゃったんだよねー?あははー」
「ホント、ママのドジーって思ってたーあはは!」
スナックのママがそう話して、従業員であるホステスさんと笑い合っている。
っていうか、なぜこの夜の世界の人はおおらかな人が多いというか、テキトーというか…。
「間違いない。これも『魔力』の障気混じってる。上と一緒」
やはり…!



