俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


傍にいてもいい、とか。

必要としてくれているような気がして。

そんな意味合いが込められているような気がして。



心が弾む。嬉しくなる。



…いや、実際は帰れ思ってると思うけどさ。



でも、それでも。

隣にいたい。

俺だけ、その特別な場所に。



階段を降りるなずなの背中を見つめてそう思った。





降り立った場所は、四階スルーして三階。

「…あの店か」と呟いて、今度は一直線に向かう。

オデットの階下の店。

先ほど見てきたようなスナックだった。



すると、やはり。

予想は大当たりで。



その店の木製カウンターには…鋭利な傷。

足元から這うように延びる、一直線の長い傷が三本。



「いやぁー。さっき椅子動かした時にやっちゃったと思って、ヤバって思っちゃったんだよねー?あははー」

「ホント、ママのドジーって思ってたーあはは!」



スナックのママがそう話して、従業員であるホステスさんと笑い合っている。

っていうか、なぜこの夜の世界の人はおおらかな人が多いというか、テキトーというか…。



「間違いない。これも『魔力』の障気混じってる。上と一緒」



やはり…!