イラッとして目を逸らすと『伶士!』と遮るように呼び止められる。

苛立ち込めたその視線の横目で、無言で舞絵を見た。

しかし、舞絵の表情は真剣で。



『伶士…我々カトレア会のメンバーは、あなたの味方です』

『…何だよそれ』

『学園中を敵に回しても、例えあなたが悪くても、我々はあなたの味方です!私も凌憲も、紅愛も、凱も…みんなあなたの味方ですからね!』

『………』



そんな美しい友情を示す感動の一言を告げられても。

度重なる出来事にズタズタに擦れてしまった俺は、それを素直に受け止めることは出来なかった。

結果、半年後の卒業式には誰にも何も言わずに、学園を去る。



あんな世界で悪夢を見続けるよりも。

まっさらな世界で、腹を抱えて笑いたい。




…でもーーー。








「…伶士、起きろ。着いたぞ」

「ん…」



ボーッとした頭を抱えて目を開ける。

目の前には、友人の颯太の顔と。

それぞれ手荷物を持って通路に並び、降機を待っている、ジャージ姿のチームメイトたち。

ここは、飛行機の中…?

電光掲示板には《arrived sapporo》の文字が。



そうか。飛行機の中で居眠りこいたのか。