俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~








(………)



ふと目が醒めて、静かに開けた視界の向こうは。



「…じゃあ、今日はここまで!終わり!」



黒板と、教壇にいる先生…という、いつもの見慣れた光景。

授業終了を知らせるチャイムもキーンコーンカーンコーンと呑気に鳴っていた。



(ああぁぁっ…!)



夢から醒めて、我に返ると。

恥ずかしさでいっぱいになる。

授業が終わってバタバタと席を立つクラスメイトの足音物音を耳にしながら、自己嫌悪に陥っていた。



俺…真っ昼間から、何て夢を見てるんだ。

初めて…してしまった時の夢など!



うたた寝で疲労回復どころか、疲労困憊だ。

どっと疲れた。



何故…なぜ今更、沙羅先輩の夢を見てしまったんだろう。

俺、そんなに欲求不満?



…いや、そう言えば。

朝、親父と母さんが、沙羅先輩の家の話をしていたからかもしれない。

沙羅先輩のお父さんが経営する会社『宮下商事』が倒産しかかっていて、親父が資金援助の話を持ち掛けようとしたが、何とか持ちこたえたとか。

負債はだいぶ大きかったはずなのに、どこから資金調達したんだ?とか。