「よく見ると似てないけど、髪もメイクも一緒ならそりゃ似るわ。ははーっ」



ははーっじゃない！

怒りを煽るな！

とんでもない悲劇がやってくるぞ！



二人を見守りハラハラしてしまう。

しかし、その時はやってきた。



「…一緒じゃねえし！死ねやあぁぁっ！スケベチャラ男ぉぉぉっ！」



なずなが腰を少し落とした。

…まずい！悲劇の前兆だ！

腹に膝蹴り入れる気満々…！




「まっ…待て！や、やめろ！」



なずながチカの方へ動き出そうとしたその瞬間に、思わず間に割って入る。

チカを背に庇う状態となった。

突然目の前に現れた俺に向こうも驚いたのか、目を丸くしてガクンと動きを止める。



「…あ。伶士、いたの。おはよ」



いたの。って…。

気付かれてなかった…。



軽くずーんと落ち込む。

しかし、そんな俺を構わずなずなはハッとした顔を見せる。



「っつーか！そこをお避けなさい！まつ毛のお坊っちゃま！このセクハラチャラ男に一矢報いる！」

「っつーか！どさくさ紛れにお坊っちゃま言うな！朝っぱらからボッコボコはやめろ！」