少し上がっては、ぶち落とされ。
また少し近付いては、またぶち落とされ。
本当に容赦ない、俺の残酷物語。
頑張ったところで、こいつのその上を行くなんて、出来るんだろうか…。
なずなの気が済んだのか、高速デコ突つきは終了した。
お互い、何を一生懸命になったか知らんが、息をハァハァときらしている。
プラスこっちは、余韻で頭がグラグラとめまいする。
脳震盪になる…。
…しかし、俺が調子づいて、追い掛けて。
でしゃばって、仕事の邪魔をしたことは、本当に反省してるんだ。
「す、すみませんでした…」
「はぁぁ…」
「さっきは、ごめん…ほんと」
「………」
本当に、悪かったと思ってる。
まだまだ、自分は未熟だった。
「………」
謝罪を終え、しょんぼりしてたが。
なずなは無言でじっとこっちを見続けている。
な、何だよ…。
と、思っていたら、またしても軽くデコをつんと突つかれた。
また…!
「お腹すいた」
「…へ?」
「ごはん奢って。それで許す」
ごはん…。
なずなは、げへへ…と笑っていた。
悪そうに。



