俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


「でも、いざ現場に来たら…想像していたより危険な妖気で、ちょっとヤバいヤマになるかな、なんて。案の定、まさかの魔族だったけど…」

そこで、なずなはまたため息をつく。

ちょっとマジな雰囲気で話してるので、俺はただ黙って聞くしかなかった。



「…もし、伶士を連れて行ってたら、伶士を危険な目に合わせたかもしれない。…だから、連れてこなくて良かったって思ったんだよ」

「………」

「…先の件で、恐い思いさせてるのに、これ以上危険な目に合わせるワケにいかないからな」



それは…。

なずななりの、思いやりで。

俺のことを考えてこその、発言だった。



なのに、俺は…。



《連れてこなくて良かったとか、断られて良かったとか、俺いったい何なワケ?!》



また、だっせぇ発言を…!



冷静になってしまうと、こっ恥ずかしいことをしている自分に気付いてしまった。

俺、カッとなっていたとはいえ、なんて女々しいことを…!

私と仕事、どっち大事なのー?っていう、男が困りまくる発言と同じレベル…!

男の風上にもおけない…!



気付けば、残酷物語は始まっていた。