「あれ?アンミカさん帰るの?」
「あーんーなーか!…わ、私、これから待ち合わせしておりますの。伶士には時間潰しに付き合ってもらっただけで、決して!怪しい仲ではありませんからね?オホホホ!」
「え?あ、そ…」
わざとらしい。
「じゃあ、伶士!明日部活でー!オホホホ!」
そう言って、美森は謎のキャラ設定のまま逃げるように帰っていった。
本当に。なぜ自然に振る舞えないのか。
その場に取り残されたのは、俺となずなの二人…。
二人きり…。
「………」
「………」
突然すぎて、会話が見つからず。
お互い沈黙してしまう…。
え?この先、どうしたらいいの…?
改まってそう考えると、逆に何していいかわからず、モジモジしてしまう。
すると、横で「はあぁぁ…」とため息が聞こえてドキッとさせられた。
「おまえなあぁ…」
恐る恐るため息の方向を見ると、やはり。
なずなは半ば呆れた表情をしている。
この心臓が縮み上がる感覚は、決して気にしすぎではない。
やはり、そのため息は俺に向けられたもの…!



