俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


「あっ。起きたの」



すると、そこへ竜堂の見送りに行ったなずなが戻ってきた。

美森の目が覚めたことに気付いたようだ。

なずなの登場に「な、なずぽよ!」と、ビックリしている。

「えーと…アンミカさんだっけ」

「安中ですー!あんなか!」



美森は挙動不審気味にキョロキョロと辺りを見回す。

何かを探してる?

そして、俺を手招きして耳打ちしてきた。



「…あのイケメン、帰ったの?」

「あ、うん。さっき」

「………」



そして、しばらく沈黙したのち、美森はまた耳打ちしてくる。



「…じゃあ、私が帰れば二人きりになれるワケだ」

「は?」

「私、帰るわ。ファイト伶士!じゃ!…え、そうだ、はいこれ!」

「え…え?え?はぁ?…あ、おい!」

手に持っていた紙袋から、チョコをひとつ手渡される。

さっき俺が個人的に買った、ナッツのチョコだ…。



そして、この女も撤収が早い。

たーっと走って立ち去ろうとする。

なずなにもペコッと頭を下げていた。