俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

「おっ。もう行くわ。お疲れ」

「そう?今日はありがとー。千歳空港まで気を付けてね。冬道運転」

「あぁ。…あ、そのうちヤツを連れてペンタグラムに顔出すから、なずも来いよ?」

「わかった!」



そうして、ヤツはあっさりと立ち去ってしまったのである。

俺にはしこりを残して…。



ちっ。



ヤツの立ち去った後を面白くない気持ちで睨み付けていると、足元から「うーん…」と、呻いたような声がした。

寝転がったままだった美森が、モソモソと動いている。



「み、美森?」

「うーん…ん?!わ、私、何で寝てんの…!」



ガバッと起き上がって、慌てて何故か自分の両手をじっと見つめている。



「美森、大丈夫か?」

「…はっ!れ、伶士!わ、わたし…」

「あー…具合悪かったのか?急に倒れて…」

「へっ?…そうだったの?ご、ごめんー!」

「いや…」

まさか、魔族の何だかにやられてぶっ倒れたとは、言えない…。



「…あ、そ、そうだ!な、なずぽよは?!あのイケメンは?どうなったの?!」

「あ、あぁ…」



事の真相をどう説明しようか…。

まさか、陰陽師だの魔族だの説明は出来ない…。