しかし、これ以上込み入った質問を投げ掛ける間もなく。

竜堂は、すぐに話題を変える。

「あー。おまえのカノジョ、まだ起きないな…」

未だに目覚めない美森の様子を見守っているようだ。



っていうか。

今、何とおっしゃいました?

おまえのカノジョ…!



「ち、違います!違いますよ!…カノジョじゃありません!部活のマネですって!」



思わずムキになって返答すると、「え?そーなの?」ときょとんとされる。



「だってよー?あんなカップルイベントに二人で出向くくらいだろ?カノジョかと思うじゃん、普通」

「あ、それは!…こいつが本命のチョコ買いたいって言うから、付き合ってやっただけです!」

あながち嘘でもない嘘を真実のように言い張る。

ムキになって。

…っつーか、美森がカノジョだと勘違いされたら困るぞ。

こいつならなずなにペロッと話しそうだ。

勘違いは勘弁だ!



「え?ホント?」

「嘘じゃないですって!」

「ふーん。ま?マネは大切にしないとな?」

嘘でもあり、真実でもあり…。

都合の悪いことは、臭いものに蓋のように隠しておく。