「まあ、イケメン伶士への八つ当たりはここらへんにしといて、年末大会頑張るか」

「…あほ」

なんだ。

切り替え早っ。

それに、八つ当たりだったんですか。

何で…。



そんなこんなで、チカの八つ当たりも終わり(…)、再びだらだら他愛もない話をしながら廊下を歩く。



「…それよりよ?面白い動画見してやっか?」

「え?何なに」

「くくっ。ウケるぜ?」



ちょうど6組の前に辿り着いたところで、チカが制服のポケットに手を入れて、スマホを取り出す。

そんなチカの顔は…ちょっと怪しい。

いったいどんな動画が出てくるんだ。

そう思って、スマホを覗き込んだ。



…その時だった。



「スズチカ、てめえコラァ!」



背後から、急に大声を出されてビクッとさせられる。

気が付くと、その主はチカの尻をバッコリと蹴り飛ばしていた。

「いでっ!」とチカは悲鳴をあげる。



なっ…背後からタイキック!



驚いてしまった。

無理もない。



「ふざけたことやってくれてんじゃねえぞ?!このスケベチャラ男!」



タイキックの主…なずな!