そんな、ちょっとざわついた中でも、列が前に進んだ。
ひとつ遅れてエレベーターに乗る。
「ち、ち、ちょっと何も見えないんですが!」
身長150㎝弱の美森は、人混みに埋もれている。
俺のコートの端をがっちり握っていた。
中は満員でキツいエレベーター。
こっちの方が倒れそうになるけど。
(………)
…先ほどの違和感が、まだ気になっていた。
そうこうしてるうちに、会場直通エレベーターは、ポーンと音を鳴らしてスッと開く。
そこは…随分と華やかな会場だった。
イメージカラーなのか、ピンクとブラウンのリボンやバルーンの装飾で鮮やかに彩られている入り口。
中には、たくさんのテナント、売り場が並んでいて、人の量も多い。
「わあぁぁ!すごーい!」
そんな可愛らしい会場を目にして、美森は目をキラキラさせている。
やはり、女子か。
「れ、伶士!伶士!私もチョコ買いたいっ」
「…おう、買え買え」
「きゃー!」



