何故なのか、考えるよりも先に体が動いてその場を飛び出してしまう。

小さくなっていくなずなの後を無意識に追いかけていた。



凄い偶然だ。こんなところで出くわすなんて。

こんなの滅多にないと思う。

まさに、運命的なものを感じてしまうほど。



(…なずな!)



だから!

その予定はどうなったんだ?!

アリなのか無しなのか…いや、出歩いている時点でアリが濃厚で。



人混みを掻き分けて後を追いながらも、嫌ーな予感が頭の片隅にある。



だが、一度行動に起こしてしまったら、引っ込みはつかず、前進あるのみ。

こうなりゃ、追い付いて声を掛けてやる!

え?おまえ何してんの?偶然ー!みたいな?




…しかし、嫌な予感ってやつは、いとも簡単には的中するのが、この世の中。

恐れていた事態になってしまう現場は、もうすぐそこ。




ようやく人混みを抜けて、ヤツの姿を辛うじて視界に捉えられるほど距離を詰めた。

そこは…壱丸デパートの地下出入口だった。



なずなはそこで足を止め、辺りをキョロキョロ見回している。