「っつーかおまえ、東先輩にチョコ用意したのか?まさか俺達にやる義理のと兼用だなんてことないだろな」
俺と同じことを考えていたヤツがいたらしい。
チョコ造りに浮かれている美森に、颯太は釘を刺す。
「さっさと告白でも何でもしちまえ。でないと俺達も迷惑だし」
「め、迷惑って何!用意するに決まってんじゃーん!…てなわけで、今からチョコ見に行きます。ちゃおー」
ちょうど地下鉄の改札の目の前に辿り着いたところで、美森は俺達の輪から手を振って離れる。
どうやら本当にチョコを買いに行くらしいな。
「颯太、言うなー?」
美森の姿が見えなくなったところで、一緒にいた部員の一人である輝樹が苦笑いをしている。
「背中押してやったつもりなんだけど」
「私的感情丸出し?冷静じゃなかったな」
「うるせー」
颯太もいろいろあるよな…。
「じゃあ俺達は帰りますか。明日部活あるし」
そうして、みんなで地下鉄の改札へ。
向かおうとした、その時だった。



