「街はバレンタイン一色だな…」
「うぉー」
マクドナルドを出て、地下街を歩きながら颯太たちはボソリと呟く。
…のも、無理はない。
地下街は《St.valentine day》なるピンクを基調とした装飾で溢れていた。
バレンタイン目前の週末、人通り…特に女性客が多いようにも思える。
「イベント商戦だろ?女子の皆さん楽しんでんな。俺達のこの居場所の無い感覚…チキショー」
「チカ、また文句言ってる」
「…まあ?伶士くんにはわかりませんでしょーけどねっ?」
むっ。
また八つ当たり。不毛だぞ。
すると、俺達の会話を聞いていた美森は「まあまあまあまあ」とニヤニヤ含み笑いをする。
「モテない部員の皆さん?安心してくだせえ?月曜日のバレンタイン当日には、マネたちからの愛情たっぷりチョコが当たりますからねぇ?そうムカムカしないしない」
そう言って、チカの背中をバシバシ叩く。
まるで、言い聞かせてるみたいだな。



