「忠晴さんから、伶士くんに軽食食べさせてほしいって連絡きてたんだ?用意するね」

「えっ!い、いつもすみません…」


俺の軽食を用意してくれている咲哉さんの背中を見つめていると。

今の出来事とリンクして、前に彼が話していたことを、ふと思い出す。




『陰陽師さんたちの力になりたいんだ』




…彼は、そう言っていた。




それは、先週の話だったと思う。

咲哉さんはなぜここでアルバイトをすることになったんですか?と質問した時のことだった。

咲哉さんは『高校時代、友達に連れられてよくお茶しに来てたんだよ』と、話す。

そして、大学入ってから久々にここに一人でお茶しに来た時に、オーナーにアルバイトしないかと誘われたのだという。



『働いていくうちに、衝撃な事ばかり知る日々でさ?…まさか、陰陽師さんが日々悪い霊や妖怪から市民を守ってるだなんてさー?』



確かに。俺も衝撃だった。

あんなバトルを目の前で繰り広げられるなんて。



すると、咲哉さんが少しマジな顔で話し出す。



『…伶士くんさ、二年ぐらい前に、ここ札幌を巡って陰陽師さんらや人間と悪い妖怪が死闘を繰り広げていたって、話…信じる?』