「じゃ、俺はこれで失礼するね。これから依頼あるんだ」



すると、咲哉さんがカウンターから出てくる。

菩提さんに、ビニール袋に入った荷物を渡していた。



「菩提さん、食事まだでしょ?これ、ランチの残り物を弁当にしたんで持ってってください」

「お、ありがとう。有り難く頂くよ」

「今日なずちゃんは?ご飯大丈夫ですか?」

「あいつ、今日は琴似。帰りは日付変わると思うから気にしないでいいよ」

「もー!ちゃんと食べてくださいよ、陰陽師さんたち!」

「あはは」

ヤツ、琴似にいるのか…。



「咲哉、お弁当ご馳走さま。伶士くん、忠晴さんによろしく。じゃ」



菩提さんはそう言って、笑みを漏らしたまま手を振って出ていく。

ドアの向こうに姿を消した。

しばらくすると車のエンジンをかけた音がする。

…ひょっとして、カフェの前に停まってた車、菩提さんの?

日本ではあまり見かけない、外国製の高級RV車だった。


「本っ当に、陰陽師さんたちは健康管理大丈夫なのかね。夜通し働いてるんだから、人一倍気を遣ってもらいたいよ」


まるで愚痴のように咲哉さんは呟きながらも、俺に「さあ座って座って?」と、カウンターへ案内された。