「セリフ…」

「ほら、『イケメンとのキス、ごちそーさま』さ」



ウブ…?

まさか。

あんなギャルの見てくれだし、さっきもキスをギャランティとしてかっくらっていくヤツが、ウブ?



…だが。

確かに、そのキスの件で不可思議なことはあった。



《…とれた》



なずなの舌先に乗っていた。

あの、薫のコートにくっついていたアボカドの皮。



取れた、って…。



そして、手で触ったらバチッとショートして。

落ちそうになっていた欠片を、手ではなくなぜか御札で受け止めていた。



なずなは、ただの静電気って言ってたけど…。



「ん?どうしたの?黙っちゃって」

「いや、あの…実は」



その道の人ではないけれど。

どうも一人では抱え込めきれず。

その疑問を咲哉さんに話してみる。



へぇー?あ、そう…と、聞き流すことになるかな?と思っていたんだけど。



「…なるほど」



何故だか、妙に納得したリアクションを取っていて、逆にこっちがビックリさせられる。