★★★







待て待て待て待て…!



と、思いながらも、なずなが去っていったそのドアをただ呆然と見つめて立ち尽くしていた。



いや、今のいったい何…?

今の俺、いったい何が起こったの…!



どん底残酷物語で、オワタ思ったら。

突然キスされて、舌入れられて…。

舌…。



(…ああぁぁっ!)



また、思い出してしまった。

あの唇、舌の感覚と温度を…!



突然、勢いが沈没して、へなへなと椅子に座り込む。

混乱している頭を抱えた。

でも、その抱えた頭と顔はめちゃめちゃ熱くて…。



え?…何なの。

…どう、消化したらいいんだ?!






「あ、あの…伶士くん」



声を掛けられて、ハッと我に返る。

恐る恐る顔を上げると…店員の咲哉さんが傍に立っていた。

咲哉さんは、苦笑いをしながらも、とても気まずそうだ。



「…い、いやぁー。若いっていいね…って」



…はっ!