「…守護霊?」

薫がふんっと鼻で笑う。

だが、その態度になずなの眉間にはグッとシワが寄った。



「…おいおいおい。いつも護ってくれてる守護霊さんバカにすんじゃねえぞ?いつも傍にいてあんたを見守ってるんだ。…だから、あんたが何をしたのか、何があったのかも全部知ってる」

「…はぁ?」

「そこまで疑っているんなら、全部言うぞ?守護霊さんの言ってたこと。このゲロマドンナ」

「は?ゲロ…!」

おい。また変なあだ名つけるな。

よりによって薫にゲロ…!



そして、なずなの口から明かされるその真実に。

開いた口が塞がらなくなるのだった。





「…先月、あんたは学校のカフェテリアであのバカ兄貴と偶然出くわす」

「え?…バカ兄貴?」

薫は首を傾げている。

「伶士のバカ兄貴だよ。結婚詐欺師風の胡散臭いヤロー」

「あ、頼智さん?…え?結婚詐欺師…」



なずな…。

学園の王子様である兄貴を結婚詐欺師だの胡散臭いだのペテン師呼ばわりする女は、そうそういない。

おまえと麗華さんぐらいで、他の女子…特に北桜の生徒は兄貴をむしろ神扱いしてるんだ。

『バカ兄貴』通じないぞ…。