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薫の部屋での物音、金縛り、聞こえるはずのない声。

そして、俺がプレゼントしたペンギン様のぬいぐるみの辻斬りは。

薫の仕業…?



薫に危害を加えていた悪霊は、薫…?



…え?え?え?!



どういう事だ?

薫が被害者なのに、加害者も薫?



「ま、ま、待て待て待て!な、何?薫に起こった事件の犯人、薫?!…待て待て!何を言ってるか意味不明だぞ!」



思いあまって、口を挟んでしまう。

だ、だって。言ってる意味わかんねえ。



すると、なずなは深いため息をついていた。



「…伶士、うるせえな」

「は?…う、うるさい?!何だそれ!だ、だって…」



一人で狼狽えていると、またしても冷ややかな視線を送られた上、「ちっ」と舌打ちされた。

ちっ…って!

舌打ち…!ガーン!

もう、ズタズタだ。



何だ何だ?

いったいどういう…!



…と、騒いでいるのは、俺だけで。



「………」



薫は…うつむき加減ながらも、ふるふると震えたままで。

でも、気の強い薫は、なずなを睨み付けるような視線を送り続けている。