ホント、どこまでもバカにしやがるな?
だって物凄く痛々しいじゃないか。
あぁ、可哀想。ファンシーなデザインで愛くるしいから余計に可哀想だ。
…哀れむこの思い、顔に出てたのか。
ケッケッ…と、悪そうな笑いを引きずりながら、そのペンギン様の変わり果てたぬいぐるみを手に取るなずな。
だが…。
「………」
途端に、顔色が変わった。
そして、無言のままそのぬいぐるみを手に取り、色んな角度から見回す。
綿が飛び出した部分も、念入りに見ているようだ。
「………」
そして、黙ってぬいぐるみを凝視する。
な、何?この緊張感…。
誰も何も喋らない。
なずなもマジな顔してるし…。
そして、顔を上げてカウンターの方を向いた。
「…咲哉くん、筆ペンと半紙貸して」
「ほいほーい」
なずなに頼まれて、店員の咲哉さんは速やかにカウンターから出てくる。
筆ペンと半紙を持っていて、なずなに渡していた。
「結界は?どうする?」
「いや、そこまでのことはしないから大丈夫。でもお客さん来たらお願い」
「わかったよー」



