「ねぇ。務。そろそろ私 仕事を探そうと思うの。」

夕食の後 肩を寄せ合って テレビを見ながら 私が言うと

「えー。ヤダなぁ。レーナ。どこにも 行かないでよ。」

最近 私よりも 甘えん坊になった務。

「どこにも 行かないよ。仕事するだけだよ。」

「だから。仕事に行かないで。」

口を尖らせて そんな風に 言われると 

つい 頷きたくなってしまう。


「私だって 務が仕事に行くの 寂しいんだよ?」

いつの間にか 私は また しっかり者になっていて。

優しく 務を 諭すように言うと


「じゃあ レーナ。俺の会社で 仕事してよ。事務所で。」

「そういうわけには いかないでしょう。」


務は 最初から そう言っていた。

ご両親の目を 気にして 私は 拒んでいたけど。


「それに。務 私が 事務所にいたら 外に出ないでしょう?」

「そんなことないよ。今よりも 頑張って 仕事取ってくるよ。」


結局 私は 務に押し切られるだろう。

私だって 同じ会社で 仕事をしたい。


全部 共有して。

少しでも 務を支えたいから。