私は玲にぃに抱えられてるため身動きが取れず周りの視界も見えない

今何が起こっているのか分からず変な汗が流れる

コツコツ

みんなより数歩後ろにいた玲にぃが皆を越え少し前へ出る

もちろん、私も一緒なわけで、でもそんなことを気にしている様子はなく玲にぃは前を見据えている

玲にぃ「俺達、『神桜』の姫『桜姫』だっ!
お前ら、命に変えても守るぞっ!━━」

玲にぃが途端に叫ぶ。
そして、私の身体を軽く叩く

私は自然に玲にぃを見上げ視線を合わせる
玲にぃは耳元で私に囁く

玲にぃ「下のやつらに顔見せてもらえないか?」

そう言われ、玲にぃに降ろされ視線を落としながら前を向く

俯いたままの状態からでも分かるくらい人の密集が凄い

ましてや、男だらけ

私にしたら、こんなの生き地獄だ……
無意識に涙が目に溜まる

まともに、顔を上げる余裕がなく1歩後ずさる

玲にぃ「萌、ごめんな。でも、これからお前を知ってもらうために大事なことなんだ…
頼む……」

玲にぃに手を握られ1歩また前へ進む
手汗が凄く心臓もバクバクしてる……

この倉庫にいる全員がその瞬間を今か今かと待ち構える

私は決心し、ゆっくりと前を向く

視界いっぱいに広がる男、男

正直溜まったもんじゃない
でも、自分で決めた道だから覚悟を決める

震える手を玲にぃがさっきよりもキツく握りしめてくれる

深呼吸をし、息を整える

「……萌ですっ……!よろしくお願いしますっ…!」