はぐれたことに気づいたときにはもう遅かった。
「おっ、君可愛い!ちょっと俺らと遊ぼ?」
早速、ガラの悪い男の人に絡まれた。
髪の毛の色は、ピンク頭のハルくんや、赤頭の爽たちと変わらない。
でも、爽たちはこんなにいやらしい目つきじゃない。
気持ち悪いと感じた私は、咄嗟に走り出した。
運動だったら男の人に負けない自信がある。
ただ、今日履いてきた靴は少しヒールがついたサンダル。
いつも通りには走れなくて、結局、リーダー格っぽい男の人に腕を掴まれた。
あのときの記憶がフラッシュバックして体が震えてきた。
しかも、今回は1人じゃなくて、5人。
なかなか体格のいい男の人に、敵うわけがない。
「もう逃げちゃダメだよ?君。」
怖い・・・早く誰か来て・・・。
誰かの手が太ももを撫でる。
背筋がゾワリとして、体が硬直する。
目の前の男が、息を荒くしながら、服に手をかけたとき、誰かが男を吹っ飛ばした。
そのままの勢いで、近くの男2人を回し蹴りで倒すと、私の太ももを触った男にパンチを入れる。
最後、残った1人を鳩尾への一発で倒すと、その人は、すぐに駆け寄ってきてくれた。
その場にへたり込み、半ば放心していた私は、その人の顔を見て、とても安心した。
「てらっち・・・ありがと・・・」