「お、みこは寝てんのか。」


「悠弥か・・・。」



俺の部屋に入ってきたのは、同じ部屋の住人の悠弥だった。



「寝てても手は握ってんだな。」


「ああ。今は人恋しいんだと思う。」


「あんなことがあったらなぁ。そりゃそうなるか。んで、爽は何に悩んでんだ?」


「ああ・・・ちょっと前から考えてはいたんだけど・・・。」



さっきまで考えていた、転校のこと。

自分の思いも含めて、全部洗いざらい話した。



「転校か・・・。」


「ちょっと前から考えて、でも、みこの意見が最優先だからさ。どう思ってるか、聞かないと決められないし。」


「俺は賛成だけどな。女だって知られてるってことは、男子校ではかなりのリスクになる。いつ襲われるともわからないからな。」


「そうなんだよな・・・。出来れば、転校して安全に過ごしてほしい。けど・・・。」


「自分の近くにいた方が安心はできる、か・・・。」


「そこが悩みどころなんだよ。いくら安全だって言ったって、何かあった時に駆けつけてやれる距離じゃなくなる・・・それが1番不安材料なんだ。」


「それはわかるけどな・・・爽、みこの意見を聞かないことにはどうにもならないぞ。みこだって、離れることが不安だと思うし、できれば近くに居たいと思ってると思うからさ。」


「・・・そうだよな。明日は休みだからさ、陽揮とか奏音も交えて、話そうと思うんだ。一応、みこには今日のうちに少し話すけど・・・。」


「そうだな。ま、俺もちょっと考える。爽も1人で抱え込むなよ。」


「サンキュ、悠弥。」



・・・悠弥に聞いてもらえてよかった。



俺的には寂しさがあるけど、みこが望むなら、転校したらいい。

望まないなら望まないで、また色々対策を考える。

それで、十分だ。



考えが纏まってスッキリしたからか。
それとも、ただ気が緩んだのか。


みこの手を握った状態で、眠ってしまった。