爽「ほら、みこ、上がって。」
未「お邪魔します・・・。」
実は初めて入る、爽の部屋。
モノトーンで、スッキリと片づいている。
爽のシトラスの香りがして、すごく安心できる。
「みこ、ちょっとおいで。」
「何?」
膝立ちの状態で近づくと、ギュッと抱きしめられた。
普段なら恥ずかしいこの体勢も、今は心から安心できる。
「みこ、怖かったね。守れなくて、本当にごめん。」
「ううん。爽が来てくれて、すごく安心したよ。だから、謝らないで。」
「・・・わかった。とりあえず、今は甘えたらいいよ。まだまだ不安でしょ?」
「うん・・・。もっとギューってしてほしい。あと、ここ・・・。」
「ん?あ・・・これか。首筋のキスマーク。」
「え、これ、キスマークなの?」
「うん。もしかして、知らなかった?」
「なんかチクってしたから、噛まれたのかと思った・・・。」
「アイツめ・・・。」
「爽・・・?どうしたの?」
「あ、そんなに不安な顔しないでいいよ。俺が消毒しとくから。」
「消毒って?」
「こういうこと。」
そう言って、私の首筋に優しいキスを落とした爽。
そんなことをされるとは思ってなかったから、思わずビクッとした。
「ふはっ・・・!もしかして、首筋弱い?」
「弱いかどうかはわからないけど・・・。こちょこちょされたらくすぐったいよ。」
「そういうことではないけどね。まあ、弱いんだろうね。」
「?こちょこちょされてくすぐったいところは弱いの?」
「ん〜、そういうことでもないんだけどね。まあ、みこは知らなくて大丈夫。」
「??ならいいけど・・・。」
「よかった。ちょっと震えが止まった。」
「え?震えって・・・?」
「気づいてなかった?みこ、ずっと震えてたんだよ?」
「全く気づかなかった・・・。」
「多分、恐怖から来る震えだろうね。さっきまで、僅かにだったけど震えてたから、ちょっと話せば落ち着くかなって。」
「今はもう大丈夫かな・・・。」
「うん。震えは止まってる。でも、しばらくはこのままギューってしてようか。」
「うん・・・。そうする。」
爽のシトラスの香りと、温かい腕に包まれて安心したからかな。
ついつい、その状態で寝てしまった。