しばらくして私が落ち着いた頃に、奏音達もやってきた。



壁にもたれかかって倒れている男と、泣いて目が赤い私を見て、状況は察したらしい。

いつの間にか来ていた亮にぃと悠くんで男を引きずり出し、私たちも外に出た。



爽「みこ、怖かったか?」


未「うん・・・。」


亮「コイツはもう退学にする。こんなことをするなんて、この学園にいるべきじゃない。」


紘「それは正論ですね。みこをこんな目に遭わせやがって・・・。」


陽「もう二度と、ここに来なくていい。どっかで野垂れ死んどけ。」


奏「コイツ、1発殴っていいかな?俺の気が済まないんだけど。」


悠「奏音が本気でキレてんな・・・。俺って言ったぞ。」


爽「1発じゃ足りない。10発くらいは殺らないと。」


亮「『殺る』って漢字がおかしいだろ・・・」


未「亮にぃ、処分は亮にぃが決めてね?他のみんなに任せたらやばいことになるから。」


亮「ああ。理事長とも話すけどな。ただ、未来音の話も聞かないと。アイツが全部自白するとは思えないからな。」


未「そっか・・・。」


爽「無理やり聞き出すのは俺も反対だけどね。辛いことはあんまり思い出したくないと思うし。」


未「うん・・・。必要なことなら頑張るけど・・・。」


亮「まあ、ゆっくりでいいよ。しばらくアイツは停学にして、未来音が話せる範囲で話を聞けばいい。思い出すこと自体、未来音の精神的にもキツいだろ。」


未「ありがと、亮にぃ、爽。」


爽「本当に、ギリギリ間に合ってよかった。・・・あとで俺の部屋に来て。1人でいるのは不安だろうし、話したいこともあるから。」


未「うん。わかった。」


亮「爽、未来音のこと、頼んだぞ。」


爽「はい。任せてください。」



しばらくは、爽に引っ付いていたい気分だ。


誰か安心できる人がいないと、不安で、泣きたくなってくる。
また、あんなことが起こるんじゃないかって怖くなる。



爽の右手と繋がれた左手を、ぎゅっと握った。



そしたら、爽も握り返してきてくれて、不安と恐怖が少しだけ紛れた。