10分くらい経った頃、どちらからともなく体を近づけた。


少し寒くなってきて、自然と温もりを求めていたのかもしれない。



「みこ、ちょっとこっち向いて。」


「うん?なあに?」



爽の方を向いた瞬間、優しいキスが降ってきた。


そのまま、角度を変えて何度もキスをしてくる。


ここまで深いキスをされるとは思っていなくて、かなりびっくりした。


段々息も続かなくなってきて、グイグイと爽の服を引っ張った。


名残惜しそうな顔をしながらもキスを止めた爽。


私は肩で息をしながら少しだけ睨む。



「残念、もっとしたかったのに。」


「あれ以上は無理!!なんでそんなに余裕なの!」


「まあ、それなりに経験してるから?」


「爽って元々遊んでたの?」


「未来音さん、なんてことを言うんだい。」


「だって気になるもん。」


「まあ、そうだね。遊んでたよ。ただし中学まではね。高校からは全くしてない。」


「・・・」


「みこ、引かないで。傷つくから。」


「だって、なんか嫌だ・・・。」


「ごめん。でももう二度としないよ?こんなにかわいい彼女がいるからね。」


「そんなことしたら爽とは絶交だよ。」


「それだけは勘弁だな。まあ、やらないけど。」



そう言うと、私の後ろからハグをしてくる。


そして、私の耳元で、

『俺が愛してるのは、みこだけだよ。』

と、甘い声で囁いた。


ぞわりと体が痺れて赤い顔で硬直した私と、柔らかな笑みを浮かべる爽。


そんな私たちを、月が明るく照らしていた。