「爽、あれって・・・」


「うん。連れてきたかった場所。」



その場所に着くとすでに暗くなっていて、少しだけ怖い。

でも、足元にランプがついていて、歩くのに支障はない。



「ここさ、パワースポットなんだ。このくらいの時間にならないと、ゆっくりできないくらい人気の場所。」


「そうなんだ・・・」


「俺が小さい頃、親に連れられてよく来てたんだ。ほら、見て。」



そこには、街の綺麗な夜景と、大きな月が見えた。



「うわぁ・・・綺麗・・・。」


「でしょ?どうしても見せたかったんだ。」


「すごいね、こんなに綺麗な夜景初めて!」


「喜んでくれてよかった。帰りはバスで帰れるから、ちょっと座ってゆっくりしよ。」



2人で身を寄せあって、ふかふかの草の上に座る。


10月の風は少し冷たくて、少しずつ冬の足音が近づいている気がする。


空を見ると、満点の星空が広がっている。


2人ともなんだか圧倒されて、しばらく無言で景色を眺めていた。