「そーうー、なんで山登りしてるの?」
「あとちょっとだけ頑張って。疲れたならおんぶとかしようか?」
「大丈夫・・・ちょっと暗くなって怖いけど・・・。」
「もしかして、オバケとか苦手?」
「いや、お化け屋敷とかは大丈夫なんだけど、暗いとこが苦手で・・・。」
「なんかごめんな。でも、ほんとにあと少しだから。」
「うん。頑張る・・・。わっ!」
ぬかるみに足を取られて、体が傾く。
やばい、ここから落ちたくない・・・!
手を前に出して、支えにしようとしたその瞬間、大きくて温かい体に支えられた。
「っと、危な・・・。怪我とかない?」
「爽・・・ありがと。」
この体勢、かなり恥ずかしい。
傍から見たら抱きついているような感じに見えるから、すごくて恥ずかしい。
「みこはやっぱり危なっかしいな。ほら、手
出して。さすがに危ない。」
「う、うん・・・。」
爽に手を引かれること5分。
山を登り始めて40分くらい経った頃。
少し先に広い草原が見えてきた。