ーーー今から4年前。
そのとき、小学校6年だった俺は、
別に女嫌いでもない普通の男子だった。
俺の家は父親が病気で亡くなって、母親が女手一つで育ててくれてた。
その頃までは、普通の、家族だったんだ。
ある日、学校から帰ったら、母さんが泣いてた。
理由を聞いたら、再婚する予定だった人に裏切られて、たくさんの借金を抱えてしまったと、話してくれた。
母さんに再婚相手がいたことも驚いたけど、それ以上にその相手が逃げたことに怒りを覚えた。
そこからだった。家族が壊れていったのは。
母さんは前にも増して仕事をするようになって、そのうちキャバクラとかにも行き出した。
見た目は若かったし、接客が上手いからか常連さんから好かれてて、家にいる時間が減った。
帰ってきても、前みたいに接してくれない。
中学生になった俺にはありがたかったけど、不安もあった。
いつも笑っていた母さんが、笑わなくなっていて、壊れそうだったから。
部活に勉強に、様々なことにいそしんでいた俺は、それに気づかないフリをした。
あるときから、母さんは俺を「男」として見始めた。
背が高くなり、声も男らしくなってきた俺を
ストレスの捌け口にしていたんだ。
毎日家に帰ると、仕事に出て行く母さんにキスをされてた。
ストレスが溜まっているときには、襲われそうになったりしてた。
その頃から母さんをキモチワルイって感じるようになって、女が怖くなっていた。
決定的だったのは、中1の冬のこと。
冬休みでごろごろしていたとき、母さんの職場の友達らしき人が数人やって来た。
甘ったるい声で話してくる女に吐き気を覚えて、部屋に閉じこもった。
部屋の外がやたらと静かになって、安心していた俺は気づかなかった。
母さんが、怒っていたことに。
寝る用意をして、ベッドでぼーっとしていた俺に、我を失った母さんが近づいてきた。
咄嗟に、ベッドの隅っこに逃げて距離を取ろうとした。
でも、母さんの体がそれより早く俺を押し倒した。
そこからはあんまり覚えてない。
ただ、犯されたことは、理解した。
それ以来、女に嫌悪感を抱いて、見るだけでも嫌になった。