無言のままスタスタと足を動かす珀斗くん。

俺をどこに連れて行くつもりなんだろう?


取り払いたい。

お互い言葉を発しない、この重い空気を。


そう強く思うのに……

何を話せばいいのか?

俺は全く思いつかない。

背筋がビシッと伸びた凛とした珀斗くんの背中を見つめ、歩き続けていると、そよ風のような穏やか声が、僕の耳を癒してくれた。


「珀斗、お帰り」


陽だまりのように、温かい笑顔の男性。

年齢はたぶん、俺の父さんと同じくらい。


雰囲気は180度違う、天使と悪魔くらい違うけど……

珀斗くんのお父さんかな?