「オマエらさ、こいつのライブ、見たことがあるのかよ?」
「ない……けど……」
「こいつの努力も知らねえくせに、好き放題言ってんじゃねえよ!」
迫力のある太い声が、廊下にこだまする。
俺の悪口を言っていた男子たちは、逃げるように廊下を駆だした。
「珀斗くんありがとう」
「何のお礼?」
「俺のことをかばってくれたでしょ?」
「お前のためじゃねえし」
「えっ?」
「自分は何の努力もしないで、頑張ってる奴を見つけては嫌み言う奴。マジでムカつくだけ」
ひょえっ!!
珀斗くんにギラリと睨まれた。
眼圧が半端ない。
背筋がゾクゾクするほど、怖すぎなんですけど。
やっぱり俺、珀斗くんに嫌われているよね?
お礼も言ったし。
退散しよう、この場から。