☆雅side☆



帰りの時間になりました。


斜め前の前の椅子がずれる音に

明梨(あかり)ちゃんが帰っちゃう!』

俺は急いで顔をあげる。


明梨ちゃんは帰る支度の手を止め、俺の方をチラっ。

目じりを緩めてニコっ。


不意打ちみたいな笑顔。

秘密めいていて、たまらなく可愛かったよぉ。

今夜はルンルン気分で、綾星に電話ができそうだ。



脳がとろけそうなほど、ハッピーな気分に酔いしれていた時

「明梨、帰るぞ!」

男らしい色気声が耳に届き、俺は厳しい現実に引き戻された。


教室のドアに手をついているのは、珀斗(はくと)くん。

そのまま教室に入ってきて、バックに教科書を詰め込む明梨ちゃんの元に。