ステージにあがり、ピアノの前で雅くんの足が止まった。
「桃瀬さんが聞きたいって言った曲、今から俺が歌ってあげる」
「お願いだから、俺だけのものになって?」
「アミュレットのライブを見るのは、まだ怖いんでしょ? お客さんもいない。他のメンバーもいない。俺と桃瀬さんだけの今なら、大丈夫だよね?」
瞳が見えなくなるほどの笑顔を、私に向けた雅くん。
穏やかに微笑む雅くんの瞳に、私のキュンっとうずく。
オロオロと頷く私に満足したみたい。
雅くんはピアノの前に座ると、長くて細い指で鍵盤をはじき始めた。
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