へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


まるで私の心の痛みを、代わに耐えてくれているよう。

眉を下げる雅くんの表情に、なつかしさが降り注ぐ。


変わらないね、そういう優しさ。

誰かが辛い思いをしていたら、苦しみを肩代わりしてあげようとするでしょ?


だから私は、雅くんに頼りたくなかったんだよ。

雅くんには、笑っていてほしかったから。

私なんかのせいで大人気アイドルの輝きを、濁らせてほしくなかったから。



「アミュレットのライブを台無しにして、本当にごめんなさい」


わかっている。

謝っただけじゃ許されないって。


お母さんから

『司会者としてステージに立つ以上、たとえ家族に不幸があっても、本番が終わるまで立ち続けなさい』

そう言われ続けてきた。


それだけ司会者という立場は責任が大きいと、教わってきたはずだったのに。

一番大事なことを忘れて、私は逃げ出したの。

ライブを放り出したの。


本当にサイテー。

弱い自分が大嫌いでたまらない。


うっと唇を噛みしめ、講堂の床を見つめる。

下を向くと、涙がこぼれそうに。

でも泣くのは嫌。

もっともっと自分が惨めになるから。