まるで私の心の痛みを、代わに耐えてくれているよう。
眉を下げる雅くんの表情に、なつかしさが降り注ぐ。
変わらないね、そういう優しさ。
誰かが辛い思いをしていたら、苦しみを肩代わりしてあげようとするでしょ?
だから私は、雅くんに頼りたくなかったんだよ。
雅くんには、笑っていてほしかったから。
私なんかのせいで大人気アイドルの輝きを、濁らせてほしくなかったから。
「アミュレットのライブを台無しにして、本当にごめんなさい」
わかっている。
謝っただけじゃ許されないって。
お母さんから
『司会者としてステージに立つ以上、たとえ家族に不幸があっても、本番が終わるまで立ち続けなさい』
そう言われ続けてきた。
それだけ司会者という立場は責任が大きいと、教わってきたはずだったのに。
一番大事なことを忘れて、私は逃げ出したの。
ライブを放り出したの。
本当にサイテー。
弱い自分が大嫌いでたまらない。
うっと唇を噛みしめ、講堂の床を見つめる。
下を向くと、涙がこぼれそうに。
でも泣くのは嫌。
もっともっと自分が惨めになるから。



