☆明梨side☆



はぁ~、なんとか間に合ったぁ。

朝のHRのベルが鳴り響く中、ぎりぎりセーフで教室に駆け込む。

先生はまだ来てない、一安心。



「どうした? 明梨(あかり)にしては珍しいじゃん。こんなギリギリに来るなんて」


首をかしげハテナを飛ばしてきたのは、隣の席の麻帆(まほ)ちゃん。

家での出来事を思い出し、私は唇をムッと突き出した。


「だって(こい)ちゃんが、お店の服を着てって朝からうるさいから」


「それで、着てあげたの? ロリータ服」


「……しょうがなく」


「アハハ。明梨は優しんだから」


もう笑わないでよ。

恋ちゃんにお願いされると、つい言うことを聞いちゃうんだから。


麻帆ちゃんに向け、ほっぺたを思いっきり膨らませている私。

先生が教室に入って来たから、慌てて空気をプシュッと抜く。