「明梨ちゃんが司会をしてくれないなら、学園祭のライブに出るの」


「綾星~~、そんなこと言わないで~~」


「良い知らせを楽しみにしてるからな。雅の笑顔は、どんな女子にも効く特効薬なんだから。明梨ちゃんの前で、余すことなく自分の武器を使えよ。天使みたいニコだぞ。じゃあ雅、おやすみな~」


「ちょっ、ちょっと……あやせぇぇ……って」


ムッ。

もう電話が切れてるし。



俺はスマホを床にコトリ。

真っ暗なクローゼットの中で、三角座りで膝を抱え込んだ。


そして脳内スクリーンに映し出す。

大好きな子と初めて会った、桜色に染まるあの日のことを。