作り忘れていた笑顔を、いそいで取り戻す。


ごまかすために、何か言葉を発しよう。

そう思った瞬間、吐き捨てるような低い声がこの場の空気を凍らせた。



「嫌なら来なくていいよ、俺たちのライブ」



……え?

私を拒絶するかのような雅くんの声に驚き、顔をあげる。

軽蔑しきったような雅くんの瞳が、私に突き刺さっていた。



そうだよね。

ライブに来て欲しくなんかないよね。

 

でも、慌てるように声を和らげたのは雅くんで


「俺の顔、恐ろしかった? ビビらせちゃってごめんね。今、演技の勉強中で。もっと恐ろしく!って怒られっぱなしだから、つい練習しちゃったんだ」


穏やかに微笑みながら、凍りそうなほど冷たい空気をポカポカに温めた。