へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


「その手紙、そんなに大切なの?」


「今……一番大事……」

 
「俺の渡した、ストップウォッチより?」


 涙をぬぐいながら、コクリと頷く姿に
 俺の心がハンマーで思いっきり
 砕かれたように痛む。


 もうダメじゃん……俺。


 そりゃそうだよね。

 学園祭のあの日
 俺のことを大好きって言ってくれたのに。

 珀斗くんと明梨ちゃんの関係に嫉妬して
 ズタズタに心を傷つけたのは
 俺自身だもんね。


 でも、最後に教えて……


「明梨ちゃん、好きなの?」



「え?」


「付き合ってるの?
 そのラブレターをくれた子と」


 30秒ほどの沈黙の後。
 明梨ちゃんが、やっと俺の耳に届くほど
 か細い声を出した。

 
「ラブレターじゃ……ないよ……」


 嘘つかないで。


 珀斗くんから聞いたよ。
 明梨ちゃんが可愛い男子から
 ピンクのラブレター貰ったって。


 明梨ちゃんの言葉が信じられなくて
 立ち尽くす俺に、
 うつむいたまま
 手紙を差し出してきた明梨ちゃん。


「俺が見てもいいの?」


「……うん」


 俺が渡したストップウォッチより
 大事な手紙なんでしょ?

 明梨ちゃんのことが好きって
 書いてあるんでしょ?


 見たくもないよ。
 いますぐビリビリに
 破り捨てたいくらい。

 
 でも受け取ってしまったから
 しょうがなく手紙に目を向ける。


 え?
 これって……

 ラブレターじゃない……


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