お願いだから。
もう私に関わらないで。
他の人を好きなら
もう私の前に現れないで。
惨めなぐらい涙でぐしょぐしょな顔。
きっと雅くんの頭の中に残る私は
この先ずっと、この惨めな泣き顔だよね。
嫌だけど。もういいよ。
雅くんはこの先きっと交わることもない
他人だから。
両足で踏みつぶされているような
心の痛みに襲われながら、
私は雅くんを一瞬も見ないまま
自分の部屋に入った。
そしてこの恋を
完全に終わりにするかのように、
ゆっくりと部屋のドアを
閉じようとしたその時。
「ごめん……
俺……ムリ……」
切なく響く声が、私の心に降ってきた。
そして気づいた時には
雅くんに後ろから抱きしめられていた。
「そういうの、やめてよ!」
1階のお店にまで
響いていそうなほどの私の怒鳴り声。
私を抱き締めている雅くんの体が
ビクリと跳ねた。
本当にやめて欲しい……
私が嫌いなんでしょ?
翠さんが好きなんでしょ?
これ以上……期待させないで……
もう……
耐えられなくなっちゃうから……



